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【雨の不忍池】 注:この物語はフィクションであり、登場人物などは実在するものと一切関係ありません。 第四回 惰性と魔性の行方 森山と有紀の不倫関係は、半年以上続いていた。体の関係は月に1度か2度、場所は有紀のアパートの部屋だった。 有紀のセックスは情熱的で、飽くなき欲求の持ち主だった。 森山が有紀と重ねた情事の回数は、結婚してから今までに妻としたそれを上回る勢いだった。 一方、森山は仕事が忙しくなり、並行するように顧客からのクレーム処理や、上司による厳しい締め付けなどでストレスが溜まっていた。 特に現在の直属上司とはウマが合わず、しかしサラリーマンは上司を選ぶことはできないから、鬱憤が蓄積する。その上司は営業経験はほとんどなく、管理畑を歩んできた人で、顧客との微妙なやり取りの中で、場合によっては押しの一手が通用しないことを理解せず、闇雲に数字を押し付けてくるので、森山はやり難かった。 管理職への昇格が噂で聞こえ始めているこの時期、仕事のプレッシャーが強くなるにつれ、森山の気持ちは徐々にではあるが、有紀から離れつつあったのも自然の摂理かも知れない。 火遊びの気持ちから不倫に発展し、妻を裏切り続けることも苦痛に感ずることがあった。自分の蒔いた種ではあるが、この惰性をどこかで断ち切らなければ、とんでもない事に発展するような予感があった。まだ子供も小さいし、家庭崩壊だけは避けねばならなかった。 反対に、有紀の森山への情熱は高まるばかりで、たまに立ち寄る有紀のアパートでは、家に帰ると言い出すタイミングを逸し、最終電車に乗り遅れることもしばしばである。タクシーで帰ると2万円を超えるのだから、所帯持ちのサラリーマンである森山への経済的な負担も無視できなかった。森山は自分を蝕む精神的な疲弊が辛く感じることがあった。 そして、些細なすれ違いや、ボタンの掛け違いによって、いくつかの局面を迎えた。 それは土曜日で、妻には国内出張に行くと嘘をつき、朝から有紀のアパートへ行く約束をしていた。ところが森山は前の晩から風邪で発熱し、寝込んでしまい、外出できなかった。週明けに重要顧客との商談が控えており、これ以上体調を崩す訳にいかなかった。 有紀は森山が病気で家から出れなかったことを理解したが、最近になって、森山が以前ほど自分に対して積極的でないことへの不満が口に出るようになっていた。 次の週、有紀は森山にどうしても会ってくれと迫ったが、地方出張などもあって、時間を作ることができなかった。いや、作ろうとすれば出来たのに、仕事を理由に有紀から逃げたのだ。 針の先ほどの小さなことが重なり、二人の間の溝が徐々に明確になるにつれ、有紀は森山にしつこいくらい纏わり着くようになった。 ある冬も近い日、仕事を終え、JRと私鉄を乗り継いで、森山は自宅のある駅で下車し、駅前商店街を抜けてマンションの近くまで来たとき、薄暗い電柱の影から突然女が目の前に飛び出した。 黒のレインコートを羽織った有紀だった。 東京都を挟んで反対側の町に住む有紀が、ここまでやって来たのだ。 変わらず美しい顔立ちであるが、表情は硬く、目つきが険しかった。 森山は鼓動が速まり呼吸が浅くなるのを感じた。 「お話をしたくて来ました。最近、森山さん、私に冷たくなったのは、どうしてですか?」 「いや、そんな事はないさ。ただ忙しいだけなんだ。悪かったね、余計な心配させてしまって。」 自宅の近くでは知人に見られるかも知れず、森山は有紀を住まいと反対方向へ歩くよう促した。 二人は人気のなくなった児童公園に入った。 「私のこと、嫌いになったの?」 「そうじゃないってば。気持ちは何も変わっていないよ。」 そう答えたものの、森山は有紀の存在が鬱陶しく思えてきた。ましてや、自宅の近くまで押しかけられては、言うに及ばずである。 「私、さっき森山さんの自宅に電話したんです。奥様が出ました。」 「何だって?どうしてそんなことをしたんだ!妻には関係ないことだろ?」 「嘘よ。そんなことするわけないでしょう?森山さんの反応を見たかっただけ。」 そう言ったときの有紀の表情は、これまでとは異なり、冷たい悪意が漂っていた。森山は、思いもよらない展開に翻弄され、心が乱れ始めていた。どこか遠くで警笛が鳴り響いているような気がした。 「私、森山さんのこと、永久に愛しますから。絶対に別れないから」 有紀はこの言葉を残して森山の前から消えた。 つづく
by bob_jones
| 2006-05-25 11:59
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