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空白のときを経て、日産GT-Rが発表されました。 噂通りのすごいクルマで、お金があったら乗ってミテ~もんです。 こういうクルマは、ファンの関心も非常に高く、性能やスペックは重箱の隅々まで、日本の自動車誌で紹介されていることでしょう。(ボクも読みたい) 車名から伝統の「スカイライン」が消えたのも気になりますが、新型は海外へ輸出されるため、これまで国内専用だった固有名詞を使わなかったようです。日産は海外の高級ブランド「インフィニティ」があるから、そちらで流通されるのでしょう。 3.8リッターエンジンから搾り出されるのは480馬力!と、これは立派なスーパーカーの世界であり、ボクが運転したら実力の半分も使われないまま終わりそうな性能です。 日産の英知と経験に基づいた技術が惜しみなく投入されていることは、長かった開発期間を見ても明白ですが、新GT-Rでもっとも「ほぉ!」と思ったのが、トランスアクスル機構を備えていることです。これは、あとから部品を足して性能をあげる「あと付け」ではなく、車体の骨格からまったく別物を作らなくてはならない「こだわり」の結果です。 自動車の運転特性を決定付ける要因に、重心があります。簡単に言えば、重い部品がどこにあるかで、運転する人が感じる、そのクルマの性格は変わってきます。 なかでも一番重いのがエンジン、次が変速機(トランスミッション)、その次が左右のタイヤの中間にあるデファレンシャルというのが普通です。 普通の乗用車は、ほとんどが前にエンジンがあり、2番目に重い変速機も一緒にくっ付いています。これは前輪駆動(FF)も、後輪駆動(FR)も同じで、FRはプロペラシャフトという棒状のもので後ろにあるタイヤにエンジンの動力を伝えています。 重心の位置によって自動車の特性がどう変わるかは、ボクの知識と表現力で伝えるのは無理ですが、重心が高いと不安定になるのは、よちよち歩きの赤ちゃんが簡単に倒れてしまうのと同じです。下半身が重い頭を支えられないのです。 自動車の重心が前にあると、直進性は良くなるがカーブで重い前が遠心力で外に出ようとする働きが強まります。カーブでタイヤが滑る速度に達すると、前から外に出て行ってしまうので、ドライバーはアクセルを緩めるか、ステアリングを切り増す必要があります。 逆に重心が後ろにあると、速度オーバーしたとき、後ろのタイヤが外に振り出されるように、前を中心にスピンします。ここまで行くと、アクセルを緩めてもだめで、ステアリングを曲がる方向と逆に切る「カウンター」と呼ばれるテクニックが必要になります。20代のとき、某バイク屋の社長から借りていた、古いポルシェ911というクルマがそうで、コーナーでどうなるのか、キューイチイチの伝説を試す度胸も腕前もなく、そろりと走らせました。 理想から言うと、重心は中心に近いにこした事はなく、高性能なスポーツカーでは、その辺りに手間と費用がふんだんに掛けられています。おおまかには、タイヤの中心よりエンジンその他の重量物が前にも後ろにもはみ出さない「ミッドシップ」が最も理想的です。F1などの競技専用に開発された自動車は、ほぼ100%ミッドシップになっています。しかし、ミッドシップ設計は、かさ張るエンジンが車室のスペースを圧迫するので、居住性は犠牲になってしまいます。はなから定員2名とするなど、白黒はっきりさせた設計になり、それがスポーツカーの魅力ともいえます。 こんどのGT-Rでは、エンジンは前、次に重い変速機を後席の下に配置し、重量を中心に集めるのではなく、分散させる方式を採用しています。もちろん、他のスカイラインとは異なる専用設計です。それだけ重量バランスにこだわったと言うことと、これにより、普通のクーペと同等の室内容量を得ているのです。また、重心が前よりだと、高性能エンジンのパワーが駆動する後輪を空転させてしまう、トラクション不足という現象にも繋がります。ただしR32以降の歴代GT-Rはすべて全輪駆動です。 トランスアクスルレイアウトは、決して新しい機構ではなく、欧州のクルマではいくつかの例もあり、アルファロメオ・アルフェッタや、ポルシェ924、944、928、マセラッティ・クワトロポルテなどが有名です。いずれも基本はFR方式のクルマで、理想の重量配分を求めた結果です。 トランスアクスルの欠点と思われるのは、エンジンと変速機を結ぶプロペラシャフト(トルクチューブとも言う)が、エンジンと同じ高速度で回転するため、よほど精度が高くないと、ぶれて振動したり、破損の原因にもなりやすいので、製造コストがかかることでしょう。 それにしても、新GT-Rは、マニアにとって見逃せないメカニズムがてんこ盛りの、世界に誇れる高性能車として、外国の人々からも注目されているのではないでしょうか。個人的には、カタチは「??」な感じもありますが、実物を見たこともなく、嗜好の問題でもあります。でも、いつしか自分で運転してみたいものです。
by bob_jones
| 2007-11-12 13:36
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