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グエンは同じ職場で働くハンに恋をしていた。片思いだった。 ある日の夕方、会社の従業員たちが帰宅し、グエンとハンが最後に残った。 グエンは心に溜めていたものを勇気を出して声にした。 「ハンさん、よかったら週末に僕と食事をしに行きませんか」 この一言を伝えるのに、何年も苦しんできたような気がした。 ハンは小さな声で、「はい、行きます」とうつむき加減に答えた。 そのときから、グエンは世の中すべてが自分を中心に回っているような気分になった。 うまれて26年、経験のない幸福感だった。 日曜日の朝、グエンは古いホンダのモーターバイクでハンを迎えに行った。 ハンは、グエンの後ろに乗ると、遠慮がちに片手をグエンの腰にまわした。 古いホンダは、パタパタと排気音を鳴らしながら、ハノイの郊外に向けて走った。 空は真っ青に晴れ渡り、まるでグエンの初陣を天が祝福しているかのようだった。 うしろからハンが「どこへ行くの?」とたずねた。 グエンは「友だちから郊外にいいレストランがあると聞いたから、そこへ行こう」と答えた。 一時間もかからないで、若い二人はレストランに到着した。 レストランは野外にあり、その後方には広大な沼地と田園が広がっていた。 冷えた地元産ハノイビールで乾杯し、料理が次々に運ばれてきた。 ハノイの地鶏が自慢のレストランらしかった。 二人は会社の出来事、同僚や上司の噂話をしながら、楽しそうに食事をした。 ハンは、グエンの直属上司であるホップ課長の浮気話など、グエンの知らないことをたくさん知っていて、しかもハンによれば社内の女子社員はみんな同じように情報を持っていると言う。女性の情報収集と伝達の速さには驚かされるばかりだった。 ホップ課長の不倫相手は、何たることかグエンの隣に座る、同じ課のレンだという。まったく予想もしない事実だった。レンはまだ23歳で、純情可憐な雰囲気の明るい子だった。正直、グエンはもしもハンにふられたら、レンに求愛していたかもしれないほど好意を持っていた。 食後のフルーツを食べながら、グエンはこれからのことを考えていた。 もちろんハンには言っていないが、この大きなレストランの離れには、休憩で使えるホテルが隣接しているのだ。 しかし、初めてのデートでいきなりホテルに入るのは、まさかハンが承知しないだろうと、弱気なグエンは悲観的に考えていた。 「なにを考えてるの?」 いきなりの質問にグエンはどきっとした。 「いや、仕事のことを、ちょっと」 「なんか、心配ごとでもあるみたいな表情だったわ」 女性経験の乏しいグエンは、女の勘がどれほど鋭いか身をもって知ったことがなかったから、ハンのストレートな問いかけに少々どぎまぎした。 「ちょっと、お手洗いに行ってくるわ」 ハンは席を立った。 グエンはポケットから煙草を出し、一本抜きとって火をつけた。 吐き出された煙は、ゆっくり広がりながら、微風に乗って広大な沼地に消えて行った。 5分ほどたったが、ハンはまだ戻らなかった。 グエンはのどかな沼地を眺めながら、ハンを待った。 更に5分たった。 グエンは心配になってきた。 ウエイトレスに訊くと、トイレは沼地に向かった方にあるという。 女性をトイレまで追っていくのは失礼とわかっていたが、嫌な予感がしたのだ。 レストランは湿地帯の上に作られているから、木材で高床式になっていて、床は木板を敷き詰めてある。グエンが歩くと、彼の体重で床板が上下にゆれた。 「TOILET →」と書かれた紙が柱に貼られていた。 更に進むと、ブリキ板の屋根もなくなり、桟橋のような木の通路が先に延びていた。 太い大木があって、その向こうにトイレがあるようだった。 グエンは大木を迂回するように作られた通路を進み、幹を超えたところで右に曲がった。 そこでは、信じられない光景が待っていた・・。 「なんで、なんで来たのよ!」 ハンが、べそをかいてグエンを睨みつけた。 「い、いや、ごめん、遅いから心配になって・・」 「いいから、あっち行って!」 あの出来事以来、ハンはグエンと目があっても笑顔一つ見せることはなかった。 (友人提供)
by bob_jones
| 2009-10-03 20:40
| アルチュー人生
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