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家を逃げ出して近所を徘徊していると、お金持ちが住む屋敷の門の隙間からボクを呼ぶ声が聞こえた。 「ボブ、ボブ、こっち来いよ」 あ、あの声は・・・ 近くによって見ると、やっぱりローランドゴリラのハリ~だ。ハリ~が言うには、友達が遊びに来てて、ボクが加われば4匹になって麻雀ができるそうな。前のこともあるし、ちょっと嫌な予感もしたんだけど、行くとこもないからお邪魔することにした。 それにしても、一体どうしちゃったんだろう・・・ だって、ハリ~の毛が全身真っ白になっているんだもの。前は見事に艶のある黒髪だったのに。 裏庭に案内してもらう途中、ボクはハリ~が真っ白になった理由を尋ねた。 「いやぁ、ちょっと胃潰瘍やっちゃてさぁ、これでも苦労多いんだよ」 このお屋敷の主はハリ~の主治医さんで、ハリ~を世に放すと凶暴な行為をするから隔離されているそうだ。そうかぁ、ハリ~、荒れてんのね。 裏庭には2匹の先客がいた。 ペンギンの104hitoとアシカのラフィ~だった。 なんだ、ハリ~は相変わらず古仲間と付き合ってんだ。 お屋敷の広大な裏庭は一面芝生が敷き詰められ、プールやテニスコートもある。お医者さんって儲かるんだね。 自分も犬だから偉そうなことは言えないけど、どうして白ゴリラや、ペンギン、アシカと麻雀しなくちゃいけないんだろう。 生意気に葉巻をくわえたハリ~が「おい、ボブ、場所決めだ、モタモタすんなよ」と凄んだ。感じの悪いやつだなあ。もうちょっと愛想よければといつも思うんだよね。 まぁ、ゴリラだからしかたないか。 サイコロの出た目で、東にラフィ~、南に104hito、西にボク、北がハリ~と決まった。 アシカのラフィ~が前足のヒレでサイコロを振ると、勢いあまってプールまで飛んで行ってしまった。 すかさず凶暴なハリ~が怒鳴り散らす。 「おい、なにやってんだ!バカヤロー!はやく取ってこい!」 ラフィ~は「グゥエッー!グゥエッー!」と嬉しそうに首を振りながらプールへ一目散。といっても匍匐前進だけど。そして躊躇することなくドッボーンと水に飛び込んだ。 もぐること30秒、サイコロを鼻先に器用にのせてラフィ~が水面に現れた。しかも鼻にのせたサイコロをビューンと飛ばしてすかさずキャッチ! 見事な演技を見て、ペンギンの104hitoが思わずパチパチと拍手した。ラフィ~は調子に乗って、今度はサイコロを腹に乗せて背泳を披露した。ヒレを水面から突き出して、まるでラッコのようだ。 いいぞぉ!もっとヤレィ! ボクは尻尾を振りながらラフィ~を応援した。 それを見ていた短気なゴリラのハリ~は、顔面を真っ赤に硬直させて一目散にプールへ走った。 「こら!ラフィ~!くだらねぇことやってねぇで、さっさと上がって来い!」 怒り心頭のハリ~であったが、気合が入りすぎたのか、勢い余ってプールサイドで足を滑らせて自分がプールのなかに落ちてしまった。 ドッボォォォォン!! 「ワァーーーハッハッハッハ!!」 バカなペンギンの104hitoがクチバシを大きく開いてはしゃいでいる。そういえば、前のときにハリ~にぶっ飛ばされて、ワニのプールまで飛ばされたんだったな。よく食べられないで済んだよね。きっと、あのことを根に持っているんだな。 「オ・・・ォ・・・ォ」 ゴリラのハリ~がもがきながら、なにか言おうとしている。 「オ・・・レ・・・オ・・・ヨ・・・ゲ・・・ナ・・・ィ・・・グホッ」 ハリ~が溺れてしまった。 ボコ、ボコと空気の音をたてながら、沈んで見えなくなった・・・ 水面には、さっきまでハリ~がくわえていた葉巻が浮いていた。 ボクは怖くなって、お屋敷から一目散に逃げだした。 *オワリ*
by bob_jones
| 2005-09-12 16:25
| 童話??
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