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1978年2月の冬空の下、丁稚SKの運転する我がレビンは進路を西へ向けた。 大原交差点をくぐると、SKが 「どこ行くんだっけ?」 と、後席のゲストに聞こえないようにささやいた。 「約束したじゃないか、成功したら中央高速で相模湖へ行くって」 松原の料金所から首都高速4号線に合流すれば、中央高速は目前。SKは80キロの制限速度を守ってレビンを走らせた。 後席の女性が 「どこでコーヒーゼリー食べるんですか?」 と尋ねた。僕は 「せっかくだから足を伸ばして湖へ行こう」 と明るく答えた。彼女たちの 「わぁ、すてきぃ!」 という声を聞いて、僕は自分はすご善良な人間だと思った。 夜中の中央高速は車もまばらで、ヒーターが適度に効いた社内は快適だった。 緑色の標識。 「相模湖東 出口」 の白い文字がライトに浮かんだ。 僕は緊張で心臓の鼓動が速くなるのを感じた。 このインターを出れば、イレブンPMのCMで見た 「相模湖ローヤル」 という温泉マーク旅館があるはずで、僕たちの目的地はまさしく「そこ」だったからだ。 SKは交通法規を遵守し、正しいタイミングで左のウインカーを点滅させ、本線からインターの出口に向かう車線に進路を変えた。まるで教習車を運転している仮免ドライバーのようだ。レビンは緩やかな下りの左カーブに差し掛かった。 料金所を過ぎて甲州街道に合流し、相模湖沿いを走れば「目的地」は簡単に見つかるはずだ。 心臓の鼓動は更に速くなり、体が硬直するのを感じた。 料金を支払い、僕はチラリと運転中のSKの横顔を見た。ヤツは、いつもの穏やかな表情が消えうせ、目を吊り上げた凶暴な狼に変身し、息が荒かった。 僕は 「もうすぐだよ」 と声をかけた。 SKは 「ほんと?」 とつぶやいた、その瞬間! 何を思ったか、SKが突如ギアを落とし、アクセルペダルを床まで踏み込むと、レビンは猛然とダッシュを始めた。 お、お、おい! やめろぉぉぉぉ! もの凄い速度で目の前の下り左ヘアピンが迫ってくる! 現代ではもうなくなった、板バネ固定式のリアサスペンションは、後輪のスリップを簡単に許す代わりに、滑り出しがわかりやすいのでコントロールがたやすい、というスキルはSKに関係なく、レビンは一瞬にして制御が利かない金属の物体と化した。 左ヘアピンの外側縁石に右前輪がヒット! ド~~~ン!! と大きなショックが車体を襲う。 後席の女性たちが 「キャァー!」 と叫ぶ! スライドした後輪も縁石を打ち、車体は右前後輪を支点にして、左側を浮かせながら激しく横転した。 横転の勢いは収まらず、レビンは哀れにも180度回転し、屋根から路面に着地して下り坂を滑走した。 ガ ガ ガ ガ ガァ~~~~ 屋根の鉄板が激しく路面を擦りながら坂を下ってゆく。 社内の僕たちはなす術なく、この惨劇が終わるのを待つしかなかった。 やがてレビンは止まり、静寂が訪れた。 世の中すべてが、上下逆さまになっていた。 僕は自分の身に何が起きたのか理解するのに数秒を要した。 「イタ、タ、タ」 女性の声がした。 運転席を見ると、逆さまのSKは目を開いたままハンドルを握っていた。 コイツ、中学んときからバカだったけど、これよりアホに見えたことはなかった。 僕はドアハンドルを探し当て、何度も押したがドアは開かなかった。 やっと正気になってきて、ガラス窓を開き、脱出できる空間が見つかった。 最初に僕が車外に出て、運転席側のドアを引くと簡単に開いた。 SKを引っ張り出し、続いて座席を倒して後席の女性二人を救出した。 僕の最愛のレビンは、4つの車輪を空に向け、仰向けに倒れていた。 一人の女性が泣いていた。もう一人が肩を抱いて慰めている。 僕が 「大丈夫?」 と訊くと、二人は無言で頷いた。 どうやら誰も怪我はなかったようだ。 「おーい、事故ったのかぁ?」 男性が二人乗った最新型のコロナ2000GTが止まった。 「あ、オレ、これ欲しいんだよね」 バカなSKが最初に発した言葉がこれであった。 コロGから下りた人たちは、真っ当な社会人で、僕のレビンを起こすのを手伝ってくれた。 通りがかりのタクシーの運転手さんも加わって、男5人でレビンは起き上がった。 しかし、屋根はつぶれ、ボンネットは擦り切れて穴がいくつも開き、前輪はひん曲がってしまった。不思議なことに窓ガラスは一枚も割れなかった。試してみたがエンジンは掛からなかった。 この場をどうして良いかわからず、タクシーの運転手さんに訊くと、始発まで待てば最寄の駅から東京へ帰れるとのことなので、巻き添えにしてしまった女性二人には先に帰ってもらうことにした。SKの財布にあった1万円札を、遠慮する彼女たちの手に無理やり握らせ、タクシーに乗せた。 僕は咄嗟に 「東京に帰ったら謝りたいので電話番号を」 と自宅の番号と名前を教えてもらった。 相模湖ローヤルへの野望は無惨にも打ち砕かれたが、ドサクサにまぎれて聞いた電話番号が新たな展開への突破口となったのである。 終わり
by bob_jones
| 2005-10-18 23:32
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